誠光社

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しのげ!退屈くん

白く塗りつぶせ

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しのげ!退屈くん

文:安田謙一画:辻井タカヒロ

 2026年の仕事はじめは1月4日、彦根の山の湯でのトーク・イベント。その前に京都で辻井タカヒロさん、堀部篤史さんと会う約束があった。

 それまでに片づけておかなければ、と考えていたバラエティ番組や映画などを、三が日の間に見事に片づけた。なんとも清々しい気分である。この気持ちよさを忘れないために、いちいち振り返ってみたい。

 まず、年末に妻と一緒にドラマ「シナントロープ」全12話を二日間で観きった。これが大きかった。弾みがついた。 

シナントロープ

 12月31日に妻が帰省してから、録画したものとTVerを組み合わせて年末年始のバラエティ番組を観まくった。

 『八方・今田のよしもと楽屋ニュース2025』はケンコバの「世界一どうでもいい楽屋ニュース」で、スタジオの芸人が無名芸人の芸名に笑い転げる図が楽しい。

 『オールザッツ漫才2025』。セルライトスパのCHAGE and CHAGEが好み。

 『クイズ☆正解は一年後』。なんだかんだで大喜利番組として楽しんでいる。近年、大喜利も総合格闘技みたいなバトル感が増しているけど、元来、こういう、しょーもない流れ重視の味があるものだった。

 『NHK紅白歌合戦』。途中からダイアンによる副音声で観ていた。ボケることなく、好きな曲を大声でノリノリで歌ってる時間が多くて、今年の紅白、悪くないな、と思わせてくれた。矢沢永吉は新曲の「真実」が良くて、大満足。矢沢洋子がポストした「17分後に帰宅」という話も最高。

 『爆笑ヒットパレード』。これは一部だけ。「きのうの紅白ものまね」のコーナーを視聴。ネタもさることながら、何をやっても「そのままです」とコメントし続ける水森かおりが貴重。

 『ドリーム東西ネタ合戦2026』。大賞はビスケットブラザーズと空気階段の合体コント。これを忘れたくないために、この原稿を書いているのかもしれない。

 先の「オールザッツ……」も「爆笑問題の検索ちゃん 芸人ちゃんネタ祭り」にも言えることだけど、芸人がほかの芸人の本芸を笑っているのを見るのが好きだ。

 バラエティ番組の隙を縫うように、映画館でエドワード・ヤン「ヤンヤン 夏の想い出 4Kレストア版」も観た。「2Kで上映」という劇場のさりげない断り書きが、ちょっと貧乏くさかったが、観始めるとまったくに気にならなかった。イッセー尾形扮する大田というキャラを通じて、当時の台湾の人の日本人を敬う感情がよく伝わってきた。それも昔の話なんだろうなあ、と切なくなった。

 Netflixでノア・バームバック監督の新作「ジェイ・ケリー」も観た。大物映画俳優役に扮したジョージ・クルーニー版の「81/2」なんて評を目にしたけど、思い出したのはフランク・ペリーの「泳ぐ人」だった。

シェイ・ケリー

 人が人を恋しがること、その身勝手さ、いじましさを優しく描いた、愛すべき映画。

 眉ペンシルの代わりに油性ペンを使ってメイクするシーンに、「ザ・ノンフィクション」に出て来たガッポリ建設・小堀の出鱈目な白塗りを連想した。そういえば、2025年は白塗りの男の日本映画が大ヒットした。

 数十年後に読む人の為に断っておくけど、「呪怨」じゃないですよ。