野上インタビュー ユーモアとストレンジが一緒にあるようなものが好き
ギャラリートーク 作家さんに訊いてみた

ーまずは経歴から伺いたいのですが
生まれは飛騨高山で、京都の嵯峨美術短期大学のデザイン学科の中のイラスト専攻に二年通ったあと、三年間京都のデザイン事務所で働きました。東京のパレットクラブスクールに通いたくて、京都を出た途端コロナ禍が始まって、一旦実家に戻ろうと。で、成り行きで開業して・・。
ーえっ?開業ってどういうこと?
地元のフリーペーパーを作っている会社の業務委託なんかもあっとので、一応届けを出して、デザイン事務所ということで。事務所の屋号も特になく、名前で登録しただけなんですけど。安西水丸さんに憧れて、作品はイラストなんですけど、デザインに寄り添えるようなものを描きたいんです。
ー個展は今回が初めて?
東京の喫茶店(ロゴやグッズ作りなどで関わらせていただいている「愛騒」さん)で販売した粘土人形を、たまたま近くに住まわれてたSPBSの方が見てくださっていて、是非当店でもPOPUPを!とお声がけいただき、開催させてもらったことがあります。
ーイラストの売り込みとかはしないの?
しなきゃとは思っているのですが、インスタグラムを観てくださっているデザイナーさんからお声掛けいただいたりとか、そういうきっかけが多いですね。

ー今回の展示のコンセプトを教えてください。
そもそも、京都には住んでいたし、誠光社さんのことは知っていたのですが、簡単にやれるところではないと思ってたんですけど、飛騨高山の行商時に相談室を開かれていたので、そのときに堀部さんに思い切って相談してみたら、あっさりやろうってことになって。仕事ではほっこりした絵を求められがちなので、個人的に好きなお化けとか目に見えないものの絵を描きたいっていうお話をしたら、「京都でやるならまだ知名度も低いから、朝倉さんにも協力してもらって地元飛騨高山の郷土史とか民話とかを絡めたコンセプトにしたら?」って提案されて。
ーすっかり忘れてた(笑)飛騨高山に何度も通っているんだけど、僕が関わったコミュニティに地元の郷土史とか民藝、工芸に関心がある人が多い印象で。やわい屋さんがある種のハブになっていて、木工の職業訓練所があったりもするもんね。
ちょっと年齢が上の人たちはみな郷土史に詳しいですね。私個人はあんまり知識もなかったので、実際にやわい屋さんに行って「参考になりそうな本ありますか?」って相談したら、山積みの本の中から読みやすいものを選んでくださって。

その中から民話をいくつか選んで、それをモチーフに作品を描きました。人じゃないようなものが登場したりする、怖いと面白いが一緒にあるようなものが好きなんで、たくさん読んだ中から4本を選びました。朝倉さんからは、飛騨の精神病院を経営していた人が書いた本を紹介してもらって、その中に街の奇人変人を観察した項目があって「これいいじゃん」って薦められたんですけど・・。もうちょっと絵的にイメージが浮かびやすい「イワナのおばけ」とかそういうのが出てくるものになりました。
ー元の民話はペーパーにして配布しているんだけど、展示に添えられたテキストは、アレンジされているんだよね?
はい。せっかく現代の人に読んでもらうので、多少自分ごとっぽく感じてもえらえるように、インターネット掲示板みたいなテキストにアレンジしています。民話をそのまま読んでいると今の視点からすると結構ツッコミどころがあるんですけど、それをちゃんと今風に読めるように、チャットGPTを使って翻案し、さらに朝倉さんに手直しや、オチをアレンジしてもらいました。

ーキーホルダー型作品集とか、作るものも面白いよね。
自分も好きな作家さんのグッズをよく買うので、他にあんまりないとか、平面作品とプロダクトの間に無理がないものを作りたいんです。平面のままキーホルダーになったような感じがでせて気に入ってます。
ー今回民話を読んでから作品を観てもらうとより味わい深いので、会場でハンドアウトを持ち帰ってもう一度来てほしいですよね。
そうですね。遠方の方なんかはなかなか足を運べないかも知れないので、民話の内容はこちらでお読みいただけます。
