誠光社

京都 河原町丸太町 書店

編集室

waiting days

Fly 

2

waiting days

Photo & Text平野愛Insert TextTakuo

Day 1 / KIX – HND – EWR
 
出発の前日くらいから頭に浮かび続ける映画『ハドソン川の奇跡』。頼むからユナイテッド航空便、無事でいて。乗り込んだ機内には1人一列もらえるくらいに乗客がいない。円安、真冬のニューヨーク。行こうと思う日本人もなかなかいないのだろうか。心配になるほどの静けさと、乾燥する空気。
 
ぐっすり寝ている夫。息子のたくおは3回も鼻血を出して、私もなかなか眠れない。たくおはシャーク映画『THE MEG』、私は日本映画『君は放課後インソムニア』を見たりしながらふわふわとやり過ごす。窓の隙間に見えたアラスカ上空の深い青さが、少し怖かった。あまり話すことはなかった。

—- From Takuo’s Diary

“ついに飛行機に乗り、離陸した。流石に本日二回目なので慣れたものだ(えぐかった)今から12時間、気が遠すぎるがなんとか頑張ろうと思う。今はAviciiの「sos」を聴きながら(Wi-Fi借りてもらった。ありがたき)頑張ってこの1時間を乗り切った。残り11時間頑張ろう。

残り5時間まできました。正直、暇だ。映画も2本見ました。今は日本時間1時45分、リアルタイムは5時半だ。まじで眠れない。でも外は綺麗。これはオールですね。残り5時間頑張ります。

もう一回鼻血が出まして、その後もいつ出るかわからないじゃないですか、寝てたんですけどずっと今出るんじゃないかと思ってて、もう最高でした(マジでもう一生乗らん、あ、帰り乗るか、あかんじゃん)。この後無事着陸しました。ニューヨークシティえぐいね!”

Day 2 / EWR – Manhattan 
 
約13時間後、ニューアーク空港に到着。飛び交う言語も英語ばかり。外交は夫に任せっきりにして、私とたくおは寝不足で気持ち悪いまま、未だふわふわの中。気温は氷点下。顔が凍るほど寒いイメージだったがそれほどでもない。
 
「n…日本人、いなくて楽やなぁ」とたくおがポロっと発してる。わかる。誰も私たちのこと見てないし、私たちも見なくていい感じ。なんだろうねこの感覚は!
真っ暗なところからキラキラと光る街へ。マンハッタンまでのバスが私たちを運んでいく。初めて降り立ったタイムズスクエア。夜の始まり。そこは煌めき、大きさ、出力エネルギー、国力、財力、全部ひっくるめて見たことのない世界の塊のようだった。圧倒されて写真は一枚も撮れてなかった。もうほんっとに、ふわっふわ!

—- From Takuo’s Diary
 
“空港で待つ事20分。バスがきました。待ち時間は英語しりとりをして楽しんでいました。バスで走っていると、ニューヨークの街並みが良くも悪くもよく見えました。貧しい地域もあったりビルがすごく高くばえてる街もあったりで、地域によって高低差があるような印象でした。
 
そして乗る事30分、タイムズスクエア付近に到着。付近でもうすごくて、ここがタイムズスクエアって言われてもいいくらいでした。ですが到着して思ったのがやはりヤンチャ街、まだ慣れない部分がありますね。そう思いながら転がり辛いスーツケースを運んで数分、ようやくタイムズスクエアに到着。
 
圧巻でした。日本とは比にならんぐらい明るく、色々デカかったです。これがアメリカかと実感しました。その後すぐの所にホテルがありまして、なんと25階。タイムズスクエアを見下ろせるようなところでした。しかし着いたと思ったら安心して、疲れがドバッときまして、20時にも関わらず寝てしまいました。”

Day 3 / around HOTEL

朝。時差。情報過多。部屋で一旦ゆっくり待っていたいというたくおを置いて、夫と少しだけの街歩きへ。本当は私もちょっと寝転んでいたかった。ところが一歩出たくらいのあたりで、ジャスティン・ティンバーレイクのライブ告知に遭遇。一気に目が覚めた。一夜限りのものを直前に街の壁に貼るだけで宣伝する方法。さすがニューヨークだなって、どんなに大きな建物やたくさんの人に触れるよりも感じた最初の瞬間だった。
 

天気は曇天。明るい光が射したらもっと写真を撮ってみようと思った。

Photo & Text by Ai Hirano
Insert Text by Takuo