誠光社

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waiting days

Introduction

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waiting days

Photo & Text平野愛Insert TextTakuo

言葉が出にくそうと感じたのは確か息子が2歳の頃だった。それから10数年、詰まったり、どもったり、いつも彼の頭の中には無数の言葉が飛び交ったまま、14歳になった。言いたい言葉、言えない言葉。ぐるぐるぐるぐる。回り続けて、日常に疲れて、学校にも行けなくなった。途方に暮れかけた私たち家族3人は、そおっと真冬のニューヨークに飛び立った。

「ぼく、ニューヨークにいる間、ku… ことば、気にしんくて、幸せやったわ」

12日間の旅の終わり、朝6時。バス停でふと聞こえてきた言葉がそれだった。

母親で写真家の私が撮った日々と、息子からにじみ出てきた言葉。

少し立ち止まって取り返してみたかった日常と、小さな幸せ。

ただそれだけでよかった。

Photo & Text by Ai Hirano
Insert Text by Takuo