〜上川多実×阿久澤麻理子 〈私とあなた〉の日常にある〈見えづらい差別〉って何?〜
2024.3.21 19時〜
2月に刊行された自伝エッセイ『〈寝た子〉なんているの?−見えづらい部落差別と私の日常』の著者、上川多実さんは、関西の部落出身で解放運動をする両親のもと、東京の部落ではない町で生まれました。家の中では「部落差別に負けるな」と言われ、外では「〈部落〉なんて知らない」と言う友人に囲まれて混乱とともに育った上川さんは、自らが親となった現在、子どもやその周囲にいる大人に〈部落〉について伝えながら暮らしています。
阿久澤麻理子さんは、昨年10月に『差別する人の研究−変容する部落差別と現代のレイシズム』(旬報社)を刊行されました。差別は「される側」ではなく、「する側」の問題であり、「する側」が自分勝手な都合に合わせて、差別の手段や表現を作り替えてきたことをデータで示しています。また、差別的なことを言ったり、したりするばかりでなく、マジョリティに合わせてできている社会の中で、マイノリティの置かれている状況が見えない、気づかない、だから「私は差別なんかしていない」という態度の問題でもあると指摘します。
上川さんが自らの体験をもとに綴った「見えづらい差別」の問題を、理論的に研究、解説した阿久澤さん。見えづらい、ゆえに誤解を伴う現代の部落差別の実態が、この2冊をともに読むことで、とても立体的に理解、納得できます。本トークは、ふだんから交流のあるお二人が自らの著書を書いた背景とともに、それぞれの観点から「見えづらい差別」について語り合っていただきます。「差別」がいかに時代によって変化してきたか。そして、いつの間にか誰しも「差別する側」となる可能性がある。私とあなたの日常の中に生まれる「差別」の実態を知るきっかけになれば幸いです。
*中学生以下無料
*介護者無料
*店内トイレ使用可能
イベント終了後、上川多実さんのサイン会を開催します。
〈書籍紹介〉
『〈寝た子〉なんているの?−見えづらい部落差別と私の日常』
著=上川多実
2,640円(税込)里山社刊
2024年2月5日発売
「差別はもうない。〈寝た子〉を起こすな」と言われがちな部落問題。東京生まれの部落ルーツ、シングルマザーの著者は子どもやママ友に〈部落〉をどう伝えるのか。日常の中で見えづらい差別は当事者をどう惑わせ苦しめるのか。泣いて笑って、やがて日本社会の様々なマイクロアグレッションに気付かされる、まったく新しい痛快自伝エッセイ。「夕ご飯何にしようとか、幼稚園でこんなことがあったらしいとか、私たちはおしゃべりをしながら子どもが遊び終わるのを待つ。そういう日常の話題と同じように、その日は私は公園で、いつも通りのトーンで、部落の話をした」(本書より)
『差別する人の研究−変容する部落差別と現代のレイシズム』
著=阿久澤麻理子 1,870円(税込)旬報社刊 2023年10月15日発売
差別の現れ方、正当化する言説は時代とともに変わっていく。例えば、部落差別はかつての結婚・就職ではなく、その土地に住むことに対する忌避が強く現れる。また、昨今は「社会的弱者であることをふりかざし、福祉に甘えている。逆差別だ」などという偏向した言説も目立つ。こうした差別の変容はなぜ、どのように起きるのか。現代的レイシズムを基点に、差別「される側」ではなく「する側」の構造をあきらかにする。(旬報社HPより)
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上川多実(カミカワ・タミ)
1980年東京都足立区生まれ。関西の被差別部落出身の両親のもと東京の部落ではない地域で育つ。佐藤真監督のもと映画美学校でドキュメンタリー映画制作を学び、00 年、自らの家庭を撮った『ふつうの家』を発表。仲間とともに「わたし」から始まる「部落」の情報発信サイト「BURAKUHERITAGE」を運営。現代の部落差別について講演活動を行う。2児のシングルマザー。趣味は韓国ドラマとDIY。本書が初の単著。
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阿久澤麻理子(あくざわ・まりこ)
1963年大阪生まれ。大阪公立大学人権問題研究センター教員。教育学・法学・社会学の学際的視点から、人権教育および変容する差別について研究。「ジェンダー平等へ教育に何ができるか」『世界』(2021年12月号) 951巻. (2021, 岩波書店)、『地球市民の人権教育 15歳からのレッスンプラン』(解放出版社、2015年/共著)など。
- 開催日
- 2024年3月21日(木)
- 時間
- 19時〜
- 会場
- 誠光社
- ご参加費
- 1500円+1ドリンクオーダー
- 定員
- 25名さま