「ぼくは独り暮らしの老人の家に弁当を運ぶ」配達格闘写真展
2022.4.1 ー 4.15
終了しました
高齢者専門の弁当配達をしながら、お客さんである独居老人の生きる姿を撮影した写真集『ぼくは独り暮らしの老人の家に弁当を運ぶ』(青幻舎)
この本は僕にとっての青春記そのものだといっていい。
華やかな20代。その大半の時間をこの弁当屋で過ごした。そして配達にカメラを持ち込んだことで、それまでイージーモードだった僕の人生が一気にハードなものへと変容していった。
毎日数分ではあるが、人間の末期の時間に立会い続けたことは、幸か不幸かその後の僕の生き方に多大な影響を与えている。
この写真集は撮影から7年経た現在の僕が膨大な枚数のなかから選びだしたもので構成されているが、今回の展示ではその前段階の格闘の様をあえて額装して展示したい。
僕が14年間格闘し続けた相手とは僕が撮影してきた独居老人の写真たちであり、それは僕自身の内面世界でもあった。
毎日弁当を配達して、毎日写真を撮る。そのなかからなぜ自分はこの写真を選んぼうとしているのか …?
雲を掴むのに等しいその迷走、葛藤の時間は撮影を終えて、弁当屋を辞めてからも何年も続くことを余儀なくされた。
しかしながら、この写真との睨めっこの時間こそが1人の弁当配達アルバイトが写真家になるためには必要なものだった。
青春記のより“あおい部分”をご覧になっていただくことで、写真集をより身近なものに感じていただければと思います。
そして、今回の展示のためにしたためた、ぼく弁のバックストーリーのZINEもお楽しみください。
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福島あつし
写真家。神奈川県出身。
大阪芸術大学写真学科卒業後、高齢者専用弁当屋の配達員として勤務する傍ら、独居老人の生活を撮影する。
足掛け10年の撮影期間を経て、2019年KYOTOGRAPHIEのサテライトカテゴリーKG+にてグランプリ受賞。
その後、農業従事者となり、この4月より徒歩による日本縦断を敢行。
- 開催日
- 2022年4月1日(金) ー 4月15日(金)