『南インド キッチンの旅』をめぐって

8月18日まで細見美術館で開催中の展覧会「世界を変える美しい本　インド・タラブックスの挑戦」に関連し、タラブックスから2017年に出版された本『南インド キッチンの旅』（原題『Travels Through South Indian Kitchens』、日本語版はブルーシープから2018年刊行）の著者・齋藤名穂さんをお迎えしてトークイベントを開催します。

齋藤名穂さんは、東京で活動する建築家・デザイナー。2013年、東京で開催された絵本をつくるワークショップでタラブックスの代表 ギータ・ウォルフ氏と出会い、一緒に本をつくろうと誘われます。ほどなくして赴いた南インド。３ヶ月滞在する部屋の小さなキッチンは、使い途のわからないものだらけ・・。途方にくれた齋藤さんは、旅行者にとって最も縁遠い場所とはその土地に暮らす人々の「キッチン」なのでは？と、思い至ります。

こうして始まった、南インドのさまざまなキッチンをめぐる旅。本書には、料理中の何気ない会話や、キッチンだからこそよみがえる思い出話、南インドの人々のホスピタリティあふれる姿が、齋藤さん自身によるたくさんの写真と手描きのイラストとともに描かれています。各章の扉になっているのは、キッチンの主が料理に使ったスペースを記録した「キッチンの実測図」。間取りや家の内／外の境界を軽々と超える様子が伝わります。そして各章の終わりには、読者がキッチンの匂いや味を追体験するための「レシピ」が掲載されています。

早くからタラブックスの活動に注目し、紹介・販売してきた誠光社店主・堀部篤史さんを聞き手に、齋藤さんがタラブックスと本をつくることになった経緯や、南インドのキッチンをめぐる旅で出会ったこと、考えたことなど、本に描ききれなかったバックストーリーを伺います。 本書を読んだ方もこれから読む方も楽しめるトーク。ぜひご参加ください。

＊店内では8月1日〜15日まで、本書に登場するキッチンや南インドの風景の写真、スケッチの原画やスパイス、タラブックスが本書のために製作したショートフィルムなどを展示しています。

＊展示会期中に本書をご購入の方には、「南インド キッチンの旅・特製ラベル付きスパイス」をプレゼントします。

＊タラブックス（Tara Books）　南インド、チェンナイを拠点とする出版社。代表作である絵本『夜の木』や『水の生きもの』など、シルクスクリーンで印刷し手で製本した「ハンドメイド本」が日本でも人気。2017年に東京からスタートした展覧会「世界を変える美しい本　インド・タラブックスの挑戦」は現在、京都・細見美術館にて開催中（８月１８日まで）。