生き物と本のあいだ 『新装版 標本の本 京都大学総合博物館の収蔵室から』(青幻舎ビジュアル文庫) 刊行記念イベント
2019.6.16 ー 6.30
終了しました
2013年に刊行となり、大きな話題を呼んだ『標本の本』(青幻舎)。品切れとなり、再版のリクエストが相次ぐなか、このたび、新装版として生まれ変わりました。
この本をつくるきっかけは、夜の京都大学総合博物館に入れていただいたことに遡ります。ロビーだけでしたが、人気(ひとけ)のないナイトミュージアムで、暗がりのなかに多次元モデルの立体模型や古墳時代の巨大な石棺などが浮かびあがってスリル満点、好奇心を大いにそそられました。 そのしばらく後、今度は地下の収蔵室へ。エレベーターで降りたその先は、ナイトミュージアムの体験が吹き飛ぶようなワンダーランドでした。あまりに驚くものやことばかりで、「わぁ」「へぇ」「すごい」くらいしか、言葉になりません。地上に戻ってくると、まったく別の世界を旅してきたかのような、時空を超える不思議な感覚をおぼえました。
地下に収蔵されているものたちは、京都大学の創立以来、百数十年にわたって収集してきた260万点を超える学術標本や教育資料です。研究者が研究や教育目的で使うものなので、一般には公開されていません。地下空間に魅了されたわたしたちは、なんども収蔵室に足を運び、標本たちとさまざまに出会ってきました。4室それぞれの体感温度も湿度も、匂いも違います。訪れるたびに新たな発見や気づきがありますが、それはきっと永遠に続くものでしょう。研究者の先生方には「何が面白いの?」と毎回不思議がられますが、標本シロウトのわたしたちからすれば、面白いことだらけなのです。
美術家と編集者の驚きや好奇心から始まった、生命をめぐる旅。 今回は標本に関連するレトロな文具や道具、かわいいものたちの展示と販売も行います。多数取り揃えますので、お楽しみに。また会期中に、自分だけの標本をつくるワークショップも開催。ふるってご参加ください。
『新装版 標本の本 京大総合博物館の収蔵室から』村松美賀子 伊藤存 著(青幻舎ビジュアル文庫)
バナー写真:市川靖史
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村松美賀子
編集と執筆。京都造形芸術大学教員。出版社勤務の後、独立。数多くの書籍や雑誌を手がけ、本の制作に伴って展示やイベントなども開催する。著書に『京都でみつける骨董小もの』 (河出書房新社)、『京都の市で遊ぶ』『いつもふたりで』(共に平凡社)、 編著にアートブック『book ladder』(自費出版)、共著に『住み直す』(文藝春秋)『京都を包む紙』(アノニマ・スタジオ)、法然院貫主・梶田真章の聞き書き『ありのまま』(リトルモア)など多数。
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伊藤存
現在、京都を拠点に活動。刺繍作品をはじめとして、アニメーションや小さな立体制作にも力を入れている。2003年、ワタリウム美術館(東京)にて個展「きんじょのはて」を開催。「世界制作の方法」国立国際美術館(2011年)、「プライマリー・フィールドII: 絵画の現在 ─ 七つの〈場〉との対話」神奈川県立近代美術館 葉山(2010年)、「Louisa Bufardeci & Zon Ito」シドニー現代美術館(2009年)、「ライフがフォームになるとき:未来への対話/ ブラジル、日本」サンパウロ近代美術館(2008年)など国内外の美術館での展覧会に参加している。2016年、2011年、2009年にタカ・イシイギャラリーにて個展を開催。代表的な出版物は『NEW TOWN』(2006年リトルモア刊)。2019年8月3日から始まる「Reborn-Art Festival 2019」網地島エリアに伊藤存+青木陵子で参加。
- 開催日
- 2019年6月16日(日) ー 6月30日(日)
- 時間
- 10時〜20時(最終日は18時まで)