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寝ても覚めても『寝ても覚めても』

寝ても覚めても『寝ても覚めても』

2018.12.4 19時-

 「柴崎さんの文章はとても音楽的だと思う。それはメロディが浮かぶとか調子がいいとかいうのとはちょっと違う。イメージの起点が思いがけないところに置かれて、そこから思いがけない形で空間が明らかにされるところ、その明らかにされるされ方に、何度も立ち戻りたくなるところ、そういうところが、どこか好きな歌(あるいは口笛)を何度も口ずさみたくなるのに似てると思うのだ。

もう一つ、親密なようでよそよそしい大阪弁もいいなと思う。柴崎さんの小説の台詞には、声に出してなぞりたくなるような繰り返しや倒置、表記の工夫がしばしば含まれている一方で、人ってこんなに論理的に考えるかしらん、と驚かされるところもある。書き言葉による話し言葉が持つ、独特の思考のスピードが感じられる。

わたしは柴崎さんのことを存じ上げないのだけれど、このような小説を書かれる方の音感覚はぜったいにおもしろいものであるに違いない、と直感している。というわけで、このたび映画化された「寝ても覚めても」だけでなく、最近作の「公園に行かないか? 火曜日に」や過去の作品も含めて、柴崎さんの書かれることばの響きのことやうたのことをお話していけば、なんや知らんうちに小説のおもしろさに近づいていくのではないかという気がしています」

ー細馬宏通

柴崎友香さんの原作を、濱口竜介監督が映画化。穏やかな衝撃とともに話題を集めている『寝ても覚めても』の公開を記念し、トークイベントを開催します。映画公開直後からその細部について原作、映画版ともに触れながら執筆・発言をされている細馬宏通さんと、原作者である柴崎友香さんに『寝ても覚めても』という作品を出発点にし、小説のこと、映画のことをお話いただきます。映画の余韻を引きずりつつ、会場でその不思議と魅力を共に考えましょう。

  • 柴崎友香

    1973年大阪府生まれ。2000年の初の単行本『きょうのできごと』が2004年に映画化。2007年『その街の今は』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、織田作之助賞大賞、咲くやこの花賞、10年『寝ても覚めても』で野間文芸新人賞、14年「春の庭」で芥川賞を受賞。その他の小説に『パノララ』『かわうそ堀怪談見習い』など、エッセイに『よう知らんけど日記』ほか、著書多数。趣味は、写真と地図。

  • 細馬宏通

    滋賀県立大学人間文化学部教授。専門は日常会話や協働作業における身体動作の研究。塔、パノラマ、絵はがき、アニメーション、流行歌など視聴覚文化史にも関心をよせる。古今東西の歌のきこえ方を論じる「うたのしくみ」(ぴあ)の他、「今日の『あまちゃん』から」(河出書房新社)、「ミッキーはなぜ口笛を吹くのか」(新潮選書)、「浅草十二階(増補新版)」「絵はが きの時代」(青土社)など著作多数。バンド「かえる目」では作詞・作曲とボーカルを担当。

開催日
2018年12月4日(火)
時間
19時-
会場
誠光社
定員
30名さま
ご参加費
2000円+1ドリンクオーダー
ご予約方法
満席につきご予約受付を終了させていただきました。