
『ジョン・バージャーと4つの季節』公開記念トーク
2025.7.11 19時〜

7月4日(金)より京都出町桝形商店街にある映画館、出町座にてドキュメンタリー映画『ジョン・バージャーと4つの季節』の上映が始まります。上映に合わせて、京都教育大学教員で庭師の、山内朋樹さんをゲストにお呼びしてトークを行います。
本映画では、1970年代前半に小説「G.」(ブッカー賞受賞)や『イメージ:視覚とメディア』(原題:Ways of Seeing)などの作品で作家・美術批評家としての国際的な地位を確立した直後、故郷の英国を捨てフランス山間部の農村に移住し、2017年に死去するまで執筆・創作を続けたジョン・バージャーの晩年が描かれています。オリジナル版の発表は2015年。生前のバージャーと長年、親交を深めてきた英国の俳優ティルダ・スウィントンが、ロンドンの実験的映像チーム「デレク・ジャーマン・ラボ」と製作しました。バージャーが人生の後半を過ごした村、フランス・カンシーの四季に沿って、戦争の記憶、人間と動物、政治とアートといったテーマを追いかけながら映画は展開していきます。
日本でバージャーといえば、アートに関心のあるかた以外にはなじみが薄いかもしれません。実際には、ドキュメンタリー作家や詩人、劇作家、画家としての顔も持つ多才な人物でした。昨年邦訳が刊行された『第七の男』(原題:A Seventh Man、黒鳥社)は、ノンフィクションとフィクションを行き来する独自の筆致で、移民労働者の実存を描いています。本書を始め、昨年、日本での翻訳出版が相次ぎ、再評価がなされている作家でもあります。
『デレク・ジャーマンの庭』の訳者で、美学を専門とする山内さんも、美術評論家「ではない」バージャーの顔や、本映画に新鮮味を覚えたそうです。同時に、映画でたびたび触れられる人間と自然の関係、風景にのこる人間の作業の痕跡についての語りが、京都で庭師の仕事をつぶさに観察し、ことばにしてきた山内さんの関心と重なっています。
映画のなかでバージャーは言います。「物語はやってくる、耳を傾ければ」。多彩な顔を持つジョン・バージャーという作家について、そして多様な物語が織り込まれたこの映画について、山内さんの視点や、風景観の話も交えつつうかがいたいと思います。映画を観てから聴くのもよし。トークを聴いてから観るのもよし。ぜひご参加ください。
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山内朋樹(やまうち・ともき)
1978年兵庫県生まれ。京都教育大学教員・庭師。在学中に庭師のアルバイトをはじめ、研究の傍ら独立。制作物のかたちの論理を物体の配置や作業プロセスの分析から探究している。著書に『庭のかたちが生まれるとき』(フィルムアート社、2023年)、共著に『ライティングの哲学』(星海社、2021年)、訳書にデレク・ジャーマン+ハワード・スーリー『デレク・ジャーマンの庭』(創元社、2024年)、ジル・クレマン『動いている庭』(みすず書房、2015年)。
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BABELO(バベロ)
東京を拠点に活動する文化翻訳プロジェクト。2021年に金聖源が活動を開始し、現在ではそのミッションに共感する個人らがチームを組成し各種文化事業を運営している。このたび聞き手を務めるのはライター・写真家の吉田直人。映画の字幕協力、編集作業を行った。
- 開催日
- 2025年7月11日(金)
- 時間
- 19時〜
- 会場
- 誠光社
- 定員
- 25名さま
- ご参加費
- 1500円+1ドリンクオーダー