誠光社 SEIKOSHA

京都 河原町丸太町 書店

ブログ 何を読んでも何かを思い出す

2015年9月

レコードと暮らし

最近、再びレコードに注目が集まっているという。メジャーのレコード会社が新作発売時に受注生産でアナログ盤をプレスする事例も増えているそうだ。しかしその大半はポピュラーミュジーックを収録した音楽ソフトとしての扱いで、メディアとしてのレコードはとうに忘れ去られてしまい、顧みられることも少ない。そもそもポピュラー音楽を収録したレコード、というのはその役割のごく一部を占めるものだった。

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『あなたを選んでくれるもの』

親戚の結婚式の帰り道で、滅多に顔を出すことのない組合の講演会に呼ばれた打ち上げの席で、普段まず交わることのない人たちと接して不思議な違和感を感じることがある。その違和感は油断すれば妬みや優越感へと変化し、それを抑えようと平静に振舞うも、大抵帰り途には気まずい思いをしている。それほどまでに自分は、限られた価値体系を持った、共感のできる人たちの間だけで生きている。SNSでは関わる人間を限定することができるし、ウェブ上の違和感のある発言や書き込みは無視するか、日々量産される便利なレッテルを貼れば、嫌な気分も消化できる。

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ブルーノ・ムナーリのファンタジア

その活動内容の幅広さと、作品の定義し難さによって、ブルーノ・ムナーリは非常に捉えにくい作家であり続けている。ある人にとってはイラストレーションのタッチが「かわいい」絵本作家であり、ある人にとってはダネーゼ社のモダンなシェイプの製品がコレクションの対象とされるデザイナーであり、ある人にとっては芸術/デザインの違いやその発送方法について論理化しようとした批評家でもある。瀧口修造にとっては詩人でもあり、彼のワークショップに参加した子どもたちにとっては「親切で面白いおじさん」なのかもしれない。

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Bookworm House & Other Assorted Book Illustrations

はじめて赤井稚佳さんのブックイラストレーションを目にしたのは、たしか『Coyote』の誌面でだったと思う。一目見て、本が好きな人が描いている、ということがわかった。「本の表紙を」という与えられたお題に対し、スピンや小口まで描き込むイラストレーターはそう多くはないはずだ。情報として書影を模写するのではなく、モノとしての思い入れを描く。これが赤井さんによるイラストの特異な点である。

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