
キングス・オブ・コンビニエンス・カラー
WADDLE YA PLAY?

仲良しの友人と、アコースティック・ギターの響きが良い曲のことを ”キュッキュ” と呼んでいました。
ニック・ドレイクやケニー・ランキン、ネオ・アコースティックまわりの名曲、小曲。指が弦の上を擦れるキュッキュッという音が印象的な曲のことです。弦の音が大きい「必勝モテ100乗ソング」の方ではなくて、時々キュッキュッが聞こえてしまうような、静かで好きにならずにいられないような曲のための言葉です。
1999年。キュッキュの結晶のようなシンプルなミニアルバムと共に、ノルウェーのキングス・オブ・コンビニエンスが登場しました。
少しとぼけたキレキレの無意識センスとビジュアルに、当時同じセンスを共有していた人みんなが、黙ってノックアウトされたはずです。
その後リリースされた3枚のアルバムは、これさえあれば白ご飯が何杯でもいける音楽として、飽きても聴き、飽かんでも聴き、こっちが白ご飯だったくらいに愛聴しているうちに、やがて時は2021年。12年ぶりにもなっていたという4枚目のアルバムがリリースされました。コロナ真っ只中で何でもカチコチの世界の中で、音はまっすぐに届くんじゃんと思った出来事でした。
アルバムのカバーデザインは、いつも同じ空気のメンバーの写真です。イメージから離れすぎるようなシチュエーションではありません。かと言って何でもない写真でもありません。何年空いても、隙のないデザインの重心を感じます。1枚出るごとに楽しみにしているのが、ケースの背の部分を見ることです。ここに必ず色の違う小さな四角形がふたつ並んでいて、今回は何色かなと見るのです。何の仕掛けもないようだけど、小さいながらにこれはキングス・オブ・コンビエンスのCDですと色のトーンが教えてくれる、とても好きな細部です。
編み企画のはじめは、この背の色をスワッチに、それぞれのアルバムと同じ配色でニットを編んでみました。何のためやらですがやっぱり好きなトーンです。



