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生活のレクリエーション 民藝運動と富本憲吉、西村伊作、藤井達吉の小芸術

生活のレクリエーション 民藝運動と富本憲吉、西村伊作、藤井達吉の小芸術
アウト・オブ・民藝 第三回

終了しました

 

五六百年前の製作と思はるる春日卓の中央に、テラカタ人形(パリ製模古)を置き、正面本床に二尺角位のマルセーユ博物館内ピユビイス・ド・シヤバンヌ作の竪画の写真を、直線よりなる金の額に入れてかけ、別床には小生自彫の木版「雲」を同形の額にてかけ申し候。次ぎに南君作の「島」と題する木版、雲、(小奉書全紙)正面に、置物は古き青備前の香炉の別床にはオランダ渡来と云ふ硝子瓶に、アジサイの花をさし申し候。

 

富本憲吉「室内装飾漫言」『美術新報』10巻11号、1911年

 

1911年に英国留学から帰ってきた富本憲吉(1886-1963)は、奈良・安堵の自邸に古今東西の美術、工芸品を並べ、それらをつなぎ合わせるように自作の版画や刺繍、楽焼といった「小芸術」を飾り立てた。

こうした室内装飾への関心は、もちろん民藝運動にも見出すことができる。たとえば、1928年の御大礼記念国産振興東京博覧会に出品された「民藝館(三国荘)」は、柳宗悦(1889-1961)が日本各地から蒐集した工芸品や調度品、河井寬次郎(1890-1966)や濱田庄司(1894-1978)、上賀茂民藝協団の作家たちの作品が室内空間と相まって、統一的な趣味をもって構成されている。

ところが、富本をはじめとした当時台頭してきた個人作家たちの室内の飾り方は一味ちがう。もっと野蛮な趣味で、作られた小芸術にもアマチュア感がある。たとえば、和歌山・新宮に自邸を設計した西村伊作(1884-1963)は、1917年に富本とその家族を招き、一緒になって陶器づくりに励んでいた。旧西村住宅には、家族が手びねりで作ったぼこぼことした器が飾られている。また、藤井達吉(1881-1964)は、個人作家としての活動だけでなく、1921年頃から主婦之友社から家庭手芸の手引書を出版し、姉妹や姪とともに刺繍によるクッションや壁掛けなどの手芸品を制作していた。このように彼らは生活の実践者であり、その生活をレクリエーション(余暇・再創造)することを愉しんでいた。

トークでは、なぜ個人作家たちが自らの生活空間を小芸術によって飾り立てていくことを試みていたのかを探っていく。

 

  • 中村裕太
  • 中村裕太

    1983年東京生まれ、京都在住。2011年京都精華大学芸術研究科博士後期課程修了。博士(芸術)。博士論文「郊外住居工芸論―大正期の浴室にみる白色タイルの受容」。〈民俗と建築にまつわる工芸〉という視点から陶磁器、タイルなどの学術研究と作品制作を行なう。最近の展示に「六本木クロッシング2013:アウト・オブ・ダウト―来たるべき風景のために」(森美術館、2013年)、「第8回アジア・パシフィック・トリエンナーレ」(クイーンズランド・アートギャラリー、2015年)、「第20回シドニー・ビエンナーレ」(キャレッジワークス、2016年)、「あいちトリエンナーレ2016」(愛知県美術館、2016年)、「東アジア文化都市2017京都」(京都芸術センター、2017年)など。工芸を作り手の視点から読み解き、その制作方法を探るプログラム「APP ARTS STUDIO」を運営している。

    http://nakamurayuta.jp/
    撮影|表 恒匡

  • 軸原ヨウスケ
  • 軸原ヨウスケ

    1978年生まれ、岡山在住。「遊び」をテーマにしたデザインユニットCOCHAE(2003年ー)のメンバーでありデザイナー。伝統こけし工人とのプロジェクト、ドンタク玩具社でも活動。郷土玩具、こけしに興味を持つ。著書に『kokeshi book -伝統こけしのデザイン-』(青幻舎)2010年、『武井武雄のこけし』(pie international)2012年、『日本のおもちゃ絵 -絵師・川崎巨泉の玩具帖-』 (青幻舎)2014年など。折り紙パズル「ファニーフェイスカード」が日本グッドデザイン賞(Gマーク)2008受賞、『猫のパラパラブックス』(青幻舎)で造本装幀コンクール2013審査員奨励賞、『トントン紙ずもう』(コクヨWORK×CREATE)がグッドトイ2013選定など。近年は「岡山名物きびだんご」(山方永寿堂)などパッケージデザインを数多く手がけている。

    http://cochae.com/
    http://donduc.com

    (絵・いぬんこ)

開催日
2018年8月17日(金)
時間
19時〜
会場
誠光社
定員
30名様
ご参加費
1500円+1ドリンクオーダー
(資料付き)
ご予約方法
E-mail:s-contact@seikosha-books.com
(参加ご希望イベント名、お名前、お電話番号をご記載ください)

または店頭、お電話にて承ります。

ご予約は定員に達し次第締め切らせていただきます