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こけしと郷土玩具から見る民藝

こけしと郷土玩具から見る民藝
アウト・オブ・民藝 第二回

「民芸が民芸じゃなくなったから民芸店はやめるのだ。」(『天江富弥追悼』緑の豆本/永六輔「愛の詩」より抜粋)

こう発言して民藝店をやめたのは、日本で最初にこけしの専門書『こけし這子の話』(1928)を作り、仙台児童文学運動(1921-)の父でもある天江富弥(1899-1984)。天江は宮城県民芸協会(1967-)発足時の副会長でもありました。

とにかく「こけし」や「郷土玩具」ほど民藝運動との境界が曖昧なものは珍しいように思う。

「郷土的な実用品を主に取り扱いましたから、玩具の如き類はわずかの例に止めてあります。」と『手仕事の日本』(柳宗悦 1940)の後記に書かれているように、まさに用の美ではないこれら玩具はあくまで「おまけ」的に柳宗悦に取り上げられました。(しかし「用の美ではない」というキーワードだけで考えると、大津絵や民画への柳の熱の入れようの違いは一目瞭然。)

また『蒐集物語』(柳宗悦 1956)では「下らない物に熱中したとて、何の益があろうか。浅い趣味の満足は早く棄てていい。そこからは何ものも活きてはこない。蒐集は達磨を集めるような程度で終わってはいけない。」など玩具蒐集を批判的にも書いています。

柳本人が民藝館に収蔵した「こけし」は江戸末期に作られたと言われる真っ黒なただ一本。

こけしや郷土玩具の蒐集・研究は民藝運動発足(1926)より歴史は随分古く、柳が民藝運動の独自性を説く上では玩具のたぐいは目の上のたんこぶであった可能性もあります。

一方、棟方志功、芹沢銈介など民藝界の神々は「こけし」や「郷土玩具」、またはそれにまつわるキーパーソンたちと柳生前より深く関わっていました。

「”こけし”人形は方々で作られ、むしろ流行にすらなりました。」『手仕事の日本』(同上)という文からもわかるように当時、民藝運動の盛り上がりと時を同じくして、「郷土玩具」や「こけし」もブームになっていきます。

「郷土玩具」が子供の玩具としてはじまり、大人の趣味となったのが明治中期。その後、お土産と民藝の間で廃絶や変貌を繰り返してきた「こけし」や「郷土玩具」は民藝運動においてどのような立ち位置だったのか。

民藝という言葉が生まれる前、もしくは同時期に、天江富弥のような、ある意味民藝的な活動をしていた人々は何を思い、何をしていたのか。

柳没後の民藝運動と「郷土玩具」の関係を含め、できる限りたのしく検証してみたいと思います。


キーパーソン

・清水晴風
・武井武雄
・天江富弥
・有坂與太郎
・芹沢銈介
・棟方志功
・外村吉之介
・吉田璋也

  • 軸原ヨウスケ
  • 軸原ヨウスケ

    1978年生まれ、岡山在住。「遊び」をテーマにしたデザインユニットCOCHAE(2003年ー)のメンバーでありデザイナー。伝統こけし工人とのプロジェクト、ドンタク玩具社でも活動。郷土玩具、こけしに興味を持つ。著書に『kokeshi book -伝統こけしのデザイン-』(青幻舎)2010年、『武井武雄のこけし』(pie international)2012年、『日本のおもちゃ絵 -絵師・川崎巨泉の玩具帖-』 (青幻舎)2014年など。折り紙パズル「ファニーフェイスカード」が日本グッドデザイン賞(Gマーク)2008受賞、『猫のパラパラブックス』(青幻舎)で造本装幀コンクール2013審査員奨励賞、『トントン紙ずもう』(コクヨWORK×CREATE)がグッドトイ2013選定など。近年は「岡山名物きびだんご」(山方永寿堂)などパッケージデザインを数多く手がけている。

    http://cochae.com/
    http://donduc.com

    (絵・いぬんこ)

  • 中村 裕太
  • 中村 裕太

    1983年東京生まれ、京都在住。2011年京都精華大学芸術研究科博士後期課程修了。博士(芸術)。博士論文「郊外住居工芸論―大正期の浴室にみる白色タイルの受容」。〈民俗と建築にまつわる工芸〉という視点から陶磁器、タイルなどの学術研究と作品制作を行なう。最近の展示に「六本木クロッシング2013:アウト・オブ・ダウト―来たるべき風景のために」(森美術館、2013年)、「第8回アジア・パシフィック・トリエンナーレ」(クイーンズランド・アートギャラリー、2015年)、「第20回シドニー・ビエンナーレ」(キャレッジワークス、2016年)、「あいちトリエンナーレ2016」(愛知県美術館、2016年)、「東アジア文化都市2017京都」(京都芸術センター、2017年)など。工芸を作り手の視点から読み解き、その制作方法を探るプログラム「APP ARTS STUDIO」を運営している。

    http://nakamurayuta.jp/
    撮影|表 恒匡

開催日
2018年6月23日(土)
時間
19時-
会場
誠光社
定員
30名様
ご参加費
1500円+1ドリンクオーダー
(資料付き)
ご予約方法
E-mail:s-contact@seikosha-books.com
(参加ご希望イベント名、お名前、お電話番号をご記載ください)

または店頭、お電話にて承ります。

ご予約は定員に達し次第締め切らせていただきます