誠光社

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第三帝国のグラフィズム ~ヌード・人種・電撃戦

第三帝国のグラフィズム ~ヌード・人種・電撃戦

2017.1.16 ー 1.31

終了しました

1933年に熱狂のうちに誕生し、13年後劫火の中に滅び去った第三帝国は、近代によって引き裂かれた人間が、過去と未来の統合によって近代を克服しようとする矛盾に満ちた社会実験でもありました。

それらは卓越したグラフィズムによりさまざまに可視化されましたが、戦後ナチズムが最大の政治的タブーとして封印される一方サブカルチャーの分野ではあるいは露悪的にあるいは美化されて再生産されるイメージが乱反射し、生の姿を伺うことは容易ではありません。

本展では貴重な第三帝国時代の刊行物と当時の個人アルバムから、近代への反撥、超克、激突としてのヌーディズム、優等人種主義、電撃戦と、そこに生きた人々の肖像を探っていこうという試みです。展示物は販売します。

主催:Sezuan Antiques & Art

 

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エルナ・レンドヴァイ・ディルクセンは第三帝国下のドイツ各地方の人々の肖像写真集を発表し好評を得ました。ナチス敗北後は一転「褐色のエルナ」「褐色のアウグスト・ザンダー」とあだ名されることになります。

彼女はまたドイツのみならずフランダース地方やノルウェーの人々の肖像写真集も「ゲルマン民族の歴史」と題して出版しており、「フランダース」篇ではフランツ・リートヴェクというSS大佐が献辞を捧げていますが、スイス人であるリートヴェクはゲルマン民族によるヨーロッパ共同体構想のもとヨーロッパ義勇SSの創設と宣伝に関わっています。SSの戦闘部隊である武装SSにはヨーロッパのほぼ全ての地域から義勇兵が馳せ参じ敗戦まで戦いました。

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もう一冊はザウケル機関のもとドイツのために働くヨーロッパ労働者の写真集。労働力配置総監フリッツ・ザウケルによりヨーロッパ各地から数百万の労働者が駆り立てられ、軍需大臣アルベルト・シュペーアのいわゆる「軍需の奇跡」の原動力となります。この二冊は第三帝国における「ヨーロッパ共同体」の光と影を表しているように思えます。

 

 

 

  • Sezuan Antiques & Art

    ウェブと展示を中心に古今東西善悪正邪聖俗清濁美醜巧拙真贋を超えて生きる人々の営みの痕を扱っています。
    https://www.instagram.com/sezuanantiques/

    2016年12月17.18日、清澄白河の幾何にて「ミルカと美しい布たち」展を開催します。
    http://www.kika-antkyqu.com/

    これまでの主な展示

    2013年 「神と人」 ギャラリーブリキ星
    2015年 「BEYOND LIVE AND EVIL」 森岡書店


    sezuanantiques@gmail.com

開催日
2017年1月16日(月) ー 1月31日(火)
時間
10時-20時(最終日のみ18時まで)