誠光社 SEIKOSHA

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ブログ 何を読んでも何かを思い出す

新宮晋の絵本世界

先月、大阪九条の「シネ・ヌーヴォ」で、「風の彫刻家」新宮晋の活動を追ったドキュメンタリー映画『ブリージング・アース』を観た。世界的な評価を受ける新宮晋の作品は、一見カルダーのモビールのバリエーションのようだが、「環境を取り入れる」という要素によって決定的に違うものになっている。抽象画を3次元に移行し、そこに時間の概念までを取り入れたカルダーのモビールに加え、新宮晋の作品は、環境に左右され、環境を生み出す。

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『光る風』三たび

山上たつひこの傑作『光る風』の古い文庫版が入荷したので久々に読み返してみた。同書との出会いは1997年。ちくま文庫のラインナップとして再刊行された際、当時アルバイトとして勤務していた恵文社の先輩に「これは絶対読んどいた方がいいよ」と薦められ手に取った(当時はレジのなかで本の話ばかりしていた)のが最初だった。当時は「『がきデカ』の著者がこんなシリアスな作品を書いていたのか」程度の感想だったが、10年ほど後に古書店で朝日ソノラマ版を買い直し読んだ際にはその預言的内容に戦慄した覚えがある。

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Hoxton Mini Pressのローカリズム

Hoxton Mini Pressは、イーストロンドンのハックニーというエリアで活動するインディペンデント出版社。Martin Usborne と Ann Waldvogelの二人を中心に、2013年に活動をスタートしたばかり。ハックニーは暴動が頻発する比較的治安の悪いエリアだったが、家賃の安さからここ数年若いアーティストが集まり、小さなカフェなどが次々とオープンする注目のエリアになりつつあるという。このあたりの変遷はNYのブルックリンなんかによく似ている。つい先ごろ刊行された某誌のロンドン特集でも巻頭でHoxton近辺のイーストロンドンエリアが採り上げられている。

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レコードと暮らし

最近、再びレコードに注目が集まっているという。メジャーのレコード会社が新作発売時に受注生産でアナログ盤をプレスする事例も増えているそうだ。しかしその大半はポピュラーミュジーックを収録した音楽ソフトとしての扱いで、メディアとしてのレコードはとうに忘れ去られてしまい、顧みられることも少ない。そもそもポピュラー音楽を収録したレコード、というのはその役割のごく一部を占めるものだった。

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