誠光社 SEIKOSHA

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アピチャッポン、LEARNERS、怪盗ルビイ、ロックンロール

アピチャッポン、LEARNERS、怪盗ルビイ、ロックンロール

楽しみにしていたアピチャッポン・ウィーラセタクン監督の『光の墓』をようやく観た。廃校舎をそのまま利用したタイ東北部の病院を舞台に、原因不明の眠り病にかかった男たちと、そのすぐ側で行われる政府による掘削工事、現代の世界と過去の争いごと、幾層ものレイヤーが重ね合わせられる言葉少なながらも複雑な構成の作品。静けさの続く長いカットの積み重ねに、観ているこちらも眠りを誘われたが、一転し、軽やかなブレイクビーツの流れるエンドロールに映画の深層世界から浮上したかのようなカタルシスを感じた。

梅田の映画館を出て、頼まれていた本を手渡しに友人と大衆酒場で待ち合わせる。戻って仕事をするつもりがついつい呑みすぎてしまい、誘われるままに年甲斐もなくクラブイベントに足を運んだ。そこで古いつきあいの松田”チャーべ”岳二さんの新しいバンドLEARNERSの関西初ライブを観て帰った翌日、気になっていた『光の墓』のエンディング曲を店で調べてみれば、アピチャッポン監督の過去作にニール・アンド・イライザの楽曲が使われていたことを知って驚いた。LEARNERSのチャーべくんが以前在籍していたバンドだ。

そんなタイミングで、近所のクラブメトロでのライブを控えたチャーべくんが店にやってきた。重なる偶然に興奮し「アピチャッポンと知り合いなのか」などと聞けば、ずいぶん以前にレーベルを通してオファーがあったらしい。

近くだからと声をかけてもらい、閉店後にメトロへ出向き二日連続でLEARNERSのライブを観た。大阪では酔っていて気づかなかったが、『怪盗ルビイ』のサビを演奏曲のイントロに引用しているのに気がついてハッとした。今度店で開催する自分のイベント「狂い咲きフライデイ・ナイト」第一回目のテーマが「パロディ」で、和田誠さんに関する原稿依頼も別件で受けていたところ。和田さん作詞、大瀧詠一作曲の同曲がここ数日なんとなく脳内再生されていたからだ。

それから数日、店を出てレコードショップに立ち寄ると大瀧詠一の特集コーナーが目に付いた。『デビュー・アゲイン』がもう並んでいる。先月、いしいしんじさんをお招きした蓄音機イベントの打ち上げで、いしいさんが興奮気味に「大瀧詠一が提供曲を自身で歌った音源が出てきた」とお話されていたそれだ。品定めなどすることなく迷わず購入し、出先から帰って早速CDを開封すると楽曲リストには『怪盗ルビイ』が。その歌声に耳を傾けしんみりすると同時に、またLEARNERSのライブが観たくなった。

78回転-フライヤー

いしいしんじさんの蓄音機トークイベントの第二回を明後日開催する。ついさっき届いたメールによれば、今回のテーマはチャック・ベリーとかビル・ヘイリー・アンド・ザ・コメッツなど古いロックンロールを中心にした「ヤバイ音楽」でいくとのこと。ちょっと時代は違うけど、この前見たLEARNERSもオールディーズやそのリヴァイバルサウンドをカバーしたルードな不良っぽい音楽。

今度はどんなリンクがあるのかいまから楽しみだ。