誠光社 SEIKOSHA

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二人の「真珠の耳飾りの少女」

二人の「真珠の耳飾りの少女」

通信販売ページに二人の「真珠の耳飾りの少女」が並んだ。一方は子供が描いた稚拙な模写。もう一方はデジタル技術を用いたコラージュ作品。オリジナルとはかけ離れていながら、いくつかの記号でわたしたちは引用された名画を知ることがでる。

ニトリの段ボール箱に金の折り紙を貼り付けて描かれた『風神雷神図屏風』、米袋の『モナ・リザ』に30分で仕上げられたモディリアーニ。「アーブル美術館」は、母の指導のもと(作品集刊行時)10歳前後の兄妹ふたりが古今東西の名画を模写するというコンセプトのユニット。のびのびと絵を描くことの原初的な喜び、鑑賞者は名画に何を見るのかという根源的な問い。さまざまなレイヤーで楽しめる作品群だが、やはり単純に面白いの一言に尽きる。

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ドイツに生まれ、フランスでアートを学び、現在オーストラリアに在住し作家活動を続けるコスモポリタンなアーティスト、ドロシー・ゴルツは「デジタルペインティング」と称して、古今東西の名画を現代的なファッションフォトにコラージュする。いずれも強烈な違和感を起こさせる作品ばかりだ。スタイリストとしても芸が細かいのも見所だ。

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最近邦訳刊行された『ゴッホ・オン・デマンド』という本によると深圳市大芬村では一万人もの稚拙な技術の職人たちが日々絵画を模倣し続けているという。オリジナルの代用品ではなく、その「精度の低さ」にたまらなく惹かれてしまうのはなぜだろう。

アーブルやゴルツの作品を観て、冒涜だと怒り出す人もいるのかもしれない。あるいは笑い出す人もいるだろう。いずれにせよ風景と化し、観てもなんの感慨も呼び起こさない「名画」よりも、存在感において彼らの作品が勝ってしまっているのは確かだ。

さまざまな手法による「真珠の耳飾りの少女」の模倣、コピー、オマージュばかりを展示した企画展があれば足を運んでみたい。

  • アーブル美術館 大贋作展
  • アーブル美術館 大贋作展 ¥3240(税込) 通信販売ページへ
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  • Dorothee Golz Digital Paintings
  • Dorothee Golz Digital Paintings ¥5400(税込) 通信販売ページへ
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