誠光社 SEIKOSHA

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ブログ 何を読んでも何かを思い出す

JD’s missing short stories

JD’s missing short stories

店舗オープンにあわせ、展示スペースにて落合恵さんによるイラスト原画展を開催中。スタート時には間に合わなかったが、今回の展示にあわせてつくっていただいた3枚のポストカードがようやく届いた。

ジェローム・デイヴィッド・サリンジャーは1953年にニューヨークからコーニッシュ郊外に移住し、以降隠遁生活を送った。1965年に『大工よ、屋根の梁を高く上げよ、シーモアー序章ー』を発表して以来、いかなるかたちでも新作を発表していない。だが、2010年の没後、隠遁中にも彼は精力的に作品を執筆していたことが明らかになる。

今年の初夏翻訳刊行された、サリンジャーにまつわるオーラル・バイオグラフィー『サリンジャー』(デイヴィッド・シールズ、ジェーン・サレルノ/角川書店)によれば、それらの作品は作家自身の意向によって向こう50年は出版することができないという。隠遁生活以降の作品だけでなく、編集者の手によって改題されてしまった雑誌掲載作品など、読むことが困難な短編は数多い。

評伝本に掲載されている魅惑的なタイトルの数々を目にしていると、読めないことの幸福もあるのではないかという気がしてきた。そこで落合さんに、「失われた短編」からイメージしたイラストを描いてもらった。それをポストカードにしたのが今回の展示のきっかけだ。

それぞれどのようなタイトルかは展示を見ての、またはポストカードを手にとってのお楽しみ。尚、各短編の日本語訳は前掲書の訳(坪野 圭介、樋口 武志共訳)に拠った。

落合恵イラスト展は12月15日まで開催中。