誠光社 SEIKOSHA

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ブログ 何を読んでも何かを思い出す

ブルーノ・ムナーリのファンタジア

ブルーノ・ムナーリのファンタジア

その活動内容の幅広さと、作品の定義し難さによって、ブルーノ・ムナーリは非常に捉えにくい作家であり続けている。ある人にとってはイラストレーションのタッチが「かわいい」絵本作家であり、ある人にとってはダネーゼ社のモダンなシェイプの製品がコレクションの対象とされるデザイナーであり、ある人にとっては芸術/デザインの違いやその発送方法について論理化しようとした批評家でもある。瀧口修造にとっては詩人でもあり、彼のワークショップに参加した子どもたちにとっては「親切で面白いおじさん」なのかもしれない。

定義のしにくさは、消費のされにくさ、とも言い換えることができる。わかりにくいことはすぐに分かることよりも時間をかけて読者や鑑賞者になじむものである。1927年、実質的なアーティストデビューを「未来派34人」展で果たしているが、機械文明を賛美するものではなく、人間に隷属する滑稽なものとして捉え『役に立たない機械』というナンセンス絵本で洒落のめしている。機械を動く部分の結合として考えたムナーリはその細部を、例えば「亀がヒモを引っ張る動力」などユーモラスな動きの連続として表現し、機械というのは人間が使いこなすべき滑稽な存在だと解釈している。これは昨今のAI技術発展による人間のコンピューターへの隷属、遡れば、アラン・チューリングが計算の連続であるコンピューターに人間性に近いものを解釈したのと、正反対のベクトルなのかもしれない。とにかくムナーリは未来派として出発しながら、あくまでもヒューマニズムを重視した独自のポジションを歩んだ。

その著作『ファンタジア』では発想のメカニズムの分析、定義化を試み、『芸術家とデザイナー』ではその差異を考察した。その上でムナーリはデザイナーでもあり、芸術家でもあったというのが面白い。誰にでも親しめる複製品を作った結果、「旅行用彫刻」や「ゼログラフィーア」といったアヴァンギャルドな様相の作品が生まれたのである。

発想の方法を自覚し、環境からの影響を自分なりに解釈し、結果生み出されたものがオリジナルであるということは、芸術家、デザイナー問わず目指すべき到達点なのかもしれない。技術の発達によりコピーや模倣の線引きが問われる中、ムナーリは今再び参照されるべき作家であることは間違いない。2007年に日本を巡回した「生誕100周年記念 ブルーノ・ムナーリ展 あの手この手」は当店でも早くも人気の1冊です。

古巣の恵文社にて2年間毎月開催してきたイベント、「コテージのビッグ・ウェンズデー」にてブルーノ・ムナーリを取り上げます。ゲストはライター、フランス語講師の小柳帝さん。モンド・ミュージックの生みの親であり、フランス映画やモダンデザインなど幅広い分野に造詣の深い小柳さんの貴重なムナーリ・コレクションを披露しながらその魅力を紹介します。デザインやアートには興味があるけど、ムナーリのことはよく知らない、というかたこそ是非ご参加を。関連イベントとして、小柳帝さんのフランス語講座”ROVA”を堀川丸太町のSONGBIRD COFFEEさんにて開催します。蚤の市で使える実践的フランス語会話や、蚤の市そのもののガイドなどもあり。会場ではオープン前の誠光社ポップアップショップも。こちらもお見逃しなく!

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コテージのビッグウェンズデー 第十九回「ブルーノ・ムナーリのファンタジア」
2015年9月30日(水)

19時半~21時半
ゲスト:小柳帝
ホスト:堀部篤史
入場料:1500円(1ドリンクつき)
*ご予約はこちら
https://cotage.sakura.ne.jp/event_form/

もしくはお電話、恵文社一乗寺店 店頭にて
Information : 恵文社一乗寺店(075-711-5919)
http://www.cottage-keibunsha.com/

そのキャリアの最初期を未来派として出発しながらも、機械を自律的には「役に立たない」存在として笑いのめし、本来平面上の表現メディアであった絵本に奥行きの概念を与え、ダネーゼ社で数々の名作プロダクトをデザイン、当時最先端の技術であったゼロックスをその表現手法にいち早く取り入れたり、実験映像を制作したり、一方で子ども達を対象にしたワークショップに熱心に取り組むなど、ジャンルの枠におさまらぬ足跡を遺したイタリアの巨人、ブルーノ・ムナーリ。アウトプットとして完成した作品ではなく、その過程にこそ本質を見出し、すべてのクリエイティブの源泉「ファンタジア」の論理化に取り組んだ巨人。その魅力は奥深く、一言では語りつくせぬものがあります。画像処理ソフトが発達し、誰もがコピー&ペーストで簡単にイメージを量産できるようになった今、これまでになかったものを生み出す力「ファンタジア」を知ることこそが全ジャンルのクリエーターにとって必須になるはず。ユーモアと実験性を兼ね備えたマエストロ、ムナーリに学べ!

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小柳帝 / ROVA 京都編 第三回「蚤の市のフランス語」@ SONGBIRD

日時   10月2日(金) ① 14:00 〜 15:30  ② 17:00 〜 18:30
講師   小柳帝
定員   各回15名
参加費  2,500円(お菓子とドリンク付)
場所   SONGBIRD COFFEE

ご参加のお申し込みは、 info@songbird-design.jp もしくは、お電話075-252-2781まで。

  • 「生誕100年記念 ブルーノムナーリ展 あの手この手」図録
  • 「生誕100年記念 ブルーノムナーリ展 あの手この手」図録 ¥2365(税込) 通信販売ページへ
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